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チョン・ナンジョン(鄭蘭貞)は朝鮮三大悪女!?

6 李氏朝鮮の人々

出典:女人天下より(amazon)

 

「オクニョ 運命の女(ひと)」に登場する野心的な鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)。

「オクニョ・運命の女(原題は獄中花)では奴婢出身の妓生ですが美貌と話術を活かして尹元衡(ユン・ウォニョン)を虜にし妾になります。正妻を毒殺して最終的にはナンジョンが正妻になります。

ユン家の財力だけでは物足りなくなったナンジョンは自分で商団を作って商売を始め莫大な財力を得ました。やがてオクニョ(玉女)の前に立ちふさがる大きな壁になります。

そんな彼女はオクニョ以外のドラマでは「女人天下」にも登場する朝鮮王朝の三大悪女のひとりなんです。三大悪女の他の2人は禧嬪張氏(チャン・オクチョン)と張緑水(チャン・ノクス)。

史実のチョン・ナンジョンはどんな女性だったのか紹介します。

 

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鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)の史実

いつの時代の人?

彼女が生きたのは1506年~1565年。朝鮮王朝(李氏朝鮮)の主に11代中宗~13代明宗の時代です。

日本では戦国時代まっただ中。織田信長(1534~1582)の親世代の人になります。

おいたち

妾の子供として生まれる

チョン・ナンジョンは賤民の母と両班の父との間に生まれました。父は11代中宗に使える武官・鄭允謙(チョン・ユンギョム)でした。

幼いころのナンジョンは側女(妾)の子供ということで第1夫人から虐待されて育ちました。

妓生になる

彼女は貧しい生活から逃れようと妓生になります。美しかったナンジョンは文定王后の弟・尹元衡(ユン・ウォニョン)に近づきます。ウォニョンと恋仲になり側女になりました。ウォニョンの寵愛を受けたナンジョンがまず行ったのが他の側室を追い出すことでした。

「オクニョ」ではこのとき追い出された側室の息子がユン・テウォンだったという設定になっています。

王妃に取り入る

ナンジョンはウォニョンの紹介で文定王后に会うことができました。ナンジョンはみごとに文定王后に取り入ることに成功しました。文定王后に気に入られるため手先となって暗躍を続けます。

中でも有名なのが文定王后のライバルだった敬嬪朴氏の追放に加担したことです。

灼鼠の変

1527年。世子の李峼(イ・ホ、のちの12代仁宗)が住む東宮の庭から焼かれたネズミの死体が出ました。

「世子の将来は不吉だ」と思わせるために誰かが企んだと考えられました。犯人探しが行われた結果、側室の敬嬪朴氏が怪しいということになりました。敬嬪朴氏は宮廷を追放されてしまいます。でも、実際にはナンジョンが罠を仕掛けたのだと考えられています。

このような功績のおかげでナンジョンは文定大妃の絶大な信頼を得ました。自由に王宮に出入りできる許可をもらいます。文定王后に忠実な実行犯というのがこの頃のナンジョンですね。

 

正妻を毒殺・朝鮮一の夫人に大出世

1551年。ウォニョンの正妻・金氏を追い出して毒殺したとされます。その後、ナンジョンが正妻になりました。

金氏の追い出しは夫のウォニョンの協力や、文定大妃の公認で行われました。というのも金氏はウォニョンの政敵・金安老(キム・アルロ)の姪でした。結婚したのはキム・アルロと敵対する前でした。ところが、ウォニョンがキム・アルロと敵対するようになると、いつまでも敵の親戚を正室にしておくわけにはいきません。

文定大妃にとってもキム・アルロは邪魔な存在でした。弟の妻に金一族がいるのは気に入らなかったでしょう。三人の利害が一致して金氏を追い出して毒殺したのかもしれませんね。

1553年。ムンジョン王后に忠実なナンジョンは外命婦従一品貞敬夫人の位をもらいました。家臣の夫人の中ではトップの位でした。朝鮮一の夫人になったのです。母が賤民の彼女にとっては当時では考えられない高い地位でした。

商売で財を蓄える

ウォニョンの権力を利用して専売の権利を獲得、商売で多くの財をなしました。当時の朝鮮社会では大規模な商団を作って商売をするためには権利が必要でした。ウォニョンの影響力を利用して商売の権利を得たのです。

当時は商売は卑しい仕事と考えられていました。いくら権利を手に入れられても両班は商売をしません。自分で商売をして儲けようというのは身分の低かったナンジョンならではの考えですね。

ナンジョンとウォニョンの間には4男2女が生まれました。ナンジョンが正室となると、子どもたちも嫡子になりました。すると都の両班たちはこぞってナンジョンの子供と結婚しようとしました。それほどナンジョンとウォニョンの力は強かったのです。

 

仏教とのかかわり

当時の朝鮮では儒教が普及し仏教は廃れていました。僧侶・普雨を文定王后に紹介して禅宗判事にしてもらいました。すると仏教が盛んになります。

ところが、そのことで儒教を支持する人たちから反感を買ってしまいます。結局、文定王后が亡くなったあとに僧侶普雨は流刑になったので再び仏教は廃れます。

文定王后亡き後のナンジョン

1565年。文定王后が亡くなると後ろ盾を失ってしまいます。ナンジョンは貞敬夫人の地位を追われ賤民にされ、前妻殺害の罪で捕まります。ユン家の10人の使用人が捕まり拷問を受けました。しかし、ナンジョンが毒殺したと認めた使用人は一人もいませんでした。本当に知らなかったのかもしれませんが、拷問を受けてもナンジョンを庇おうとしたのはなぜだったのでしょうか。意外にも使用人にとってはいい主人だったのかもしれません。

それでも重臣たちの圧力は強まります。夫のウォニョンとともに黄海道江陰に流刑になりました。

プライドの高い彼女は「人の手にかかって死ぬくらいなら」と自分で毒を飲んで自殺しました。ウォニョンもあとを追って自殺しました。

 

鄭蘭貞は悪女?身分制度に抵抗した女傑?

夫のウォニョンは「人材登用は身分にとらわれず能力で決めるべき」と上奏しました。それまでは科挙を受けることができるのは嫡子(正室の子供)だけだったのです。ウォニョンは嫡子と庶子(側室の子供)の差別をなくして官職につけるようにしました。賤民出身で側女の子だったナンジョンの影響があったのではないかと言われています。

しかしそれは朝鮮の身分制度を揺るがす大事件でした。ウォニョンとナンジョンが朝鮮王朝の秩序を乱した大悪人とされる原因になったといわれます。彼女は死後、儒教を信じる士林派によって”悪女”のイメージが作られました。

確かにウォニョンの正妻を殺したり宮廷の側室を陥れたりと彼女のしたことはひどいものが多いです。でもその中にはウォニョンや文定大妃の命令でやったこともあったかもしれませんね。

彼女自身は権力や財力への欲望が強い人でした。その一方で身分社会に対して反感を持っていたのかもしれません。彼女の人生は儒教的な身分制度に逆らおうとした人生だったと言えるのかもしれませんね。

それだけに身分制度の厳しい当時の人々からみると、とんでもない悪女に思えるのは仕方のないことなんでしょうね。

 

テレビドラマ

林巨正 1996 演:パク・ソニョン
女人天下 2001 演:カン・スヨン
オクニョ(獄中花) 2016 演:パク・チュミ

 

オクニョでは悪役ですが。チョン・ナンジョンが主役のドラマといえば女人天下
文定大妃の手先となって邪魔者を消していくナンジョンの暗躍ぶりが見られます。
オクニョより前の時代から始まるのでナンジョンの人生を知るにはよいドラマです。

出典:楽天市場

 

 

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