「べっぴんさん」野上潔の逮捕は尾上清の逮捕がモデル

朝ドラ「べっぴんさん」ではすみれたちがベビーショップを開店したころ。野上潔が逮捕されてしまいます。

大阪梅田の闇市が警察の摘発にあってしまったのです。米軍関係者にコネのある潔は闇市で品物を売りさばいていました。潔はあとで無事釈放されます。

実はこの話は実話がもとになってるんです。

野上潔のモデルとなった尾上清(レナウン初代社長)も大阪の闇市の摘発で逮捕されています。ドラマ同様無事釈放されました。

この逮捕で尾上清は昭和の鼠小僧とまで言われました。

いったい尾上清にはなにがあったのでしょうか。

潔逮捕のモデルとなった尾上清の逮捕とは

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時代背景・終戦直後の闇市の時代

終戦直後から昭和22年ごろまでは闇市が盛んだった時代でした。
正式な販売ルート、価格ではない違法な取引が行われていた時代でした。

物がない時代だったので政府は品物の生産、販売をコントロールして(統制といいます)、国民に物資を配ろうとしました(配給といいます)。でも、配給だけではすべての人に必要なだけの物はいきわたりませんでした。

そこで人々は闇市で物を売り買いしていたのでした。そうしないと生きていけない時代だったのです。闇市では個人だけでなく企業単位でも物を売り買いしていたといわれます。

そのころ尾上清は何をしていた?

第二次大戦終了後、帰国した尾上清は江商(総合商社兼松)に勤務し部長となっていました。

その一方で、有信実業という会社を立ち上げました。有信実業は物を仕入れて売るための小売店のようなものです。有信実業の代表は佐々木恒夫か大川正雄だったといわれます。

有信実業を通じて東京編織株式会社(旧レナウンメリヤス工業株式会社)の活動を助けていました。

戦争中。軍は物資を集めて保管していました。日本各地にあったといいます。しかし敗戦で物資は使われないまま残ってしまいました。これを隠匿物資といいます。この隠匿物資の多くは進駐軍が押収して凍結物資となります。進駐軍は凍結物資を業者に放出しました。物資を買い取った業者はGHQの許可をもらって正規のルートで販売しました。

有信実業も進駐軍の物資を扱って売る仕事をしていました。

その一方で、正規以外の仕事もしました。
まだ各地の自治体で放置されている隠匿物資がありました。清は有信実業を使って物資を探し出して売りました。

警察から出頭命令を受ける

昭和21年(1946年)12月。尾上清は大阪府警に出頭命令を受けます。日ごろからジープを乗り回すなど羽振りがよかった清は警察に目を付けらえていたのです。容疑は「闇市で不当に利益を得て私腹を肥やした」というものです。

清は江商に迷惑をかけたくなかったので自ら警察に行って取り調べを受けます。
当時の新聞にも大きく取り上げられたようです。当時の報道では物価統制令違反と5億円の贈賄罪となっています。

しかしその新聞を見た小倉という巡査が清を弁護しました。小倉は軍隊時代、清の部隊にいた部下でした。「尾上曹長はそんな人ではない」と小倉巡査は辞職覚悟の弁護をしました。それに心を動かされた刑事部長も調べてみると、清は多くの帰還兵にお金を渡していたことが分かりました。

物資を売った利益で生活に困っている人々の援助をしていたのです。

清の横領罪の罪は晴れました。検事からは「鼠小僧のようだ」といわれたといいます。

尾上清が佐々木営業部復活へ向けて動き出すのはこの後になります。

ドラマとの違い

モデルになった尾上清の逮捕とドラマの野上潔の逮捕は細かな部分で違いはあります。

逮捕された時期は。
昭和21年(1946年)春。尾上清と坂野惇子が再開して惇子に「自分で仕事をして自分で生きていくべき」といったあと。

昭和21年12月出頭命令です。

その後。

昭和22年9月。佐々木営業部再開。
昭和23年12月。ベビーショップモトヤ開店。

となるのでドラマとはちょっと流れが違いますが、尾上清逮捕がモデルになってるのはまちがいありません。

実在の尾上清もドラマに負けず劣らず、豪快で人情味のある人だったんですね。