亀前（かめのまえ）北条政子に屋敷を壊された源頼朝の愛人

亀前（かめのまえ）は源頼朝（みなもとのよりとも）の愛人です。

亀、亀の前とも書きます。

源頼朝が伊豆出る人生活をしているときに知り合いました。頼朝が北条政子と結婚しても付き合っていたようです。

北条政子が身ごもった後は、頼朝は亀の前への寵愛が深くなり何度も浮気を重ねました。

結局、頼朝の浮気は北条政子にバレてしまいます。

北条政子は家来に命令して亀の前が暮らしている家を破壊させました。

この北条政子の武勇伝に登場するのが「亀の前」という女性。

いったいどのような人物だったのか紹介します。

亀の前
1. 北条政子が頼朝の浮気を知って激怒
2. 北条政子の嫉妬は特別ではない？
テレビドラマの亀前

亀の前

名前：亀の前（かめのまえ）は平安時代末期から鎌倉時代初期の女性。

父：良橋（よしはし）太郎入道
愛人：源頼朝

亀前は源頼朝が伊豆で流人生活をしていたころからそばにいて仕えていた女性です。

美人で優しい性格だったといいます。

寿永元年（1182年）。源頼朝の正室・北条政子が頼家を身ごもりました。

するとこの年の春ごろから亀前と密かに関係を持つようになりました。源頼朝は浮気を重ね、頼朝の寵愛はだんだん深くなっていきます。

6月。ついに頼朝は亀前を小坪（逗子市）の小忠太光家の屋敷に招きました。

頼朝は本当は近くに呼び寄せたかったのですが、人目につくのを避けて頼朝の屋敷から離れた場所にしたのです。またこの家は海に行く途中にあったので都合がよかったというのもあります。

その後、頼朝は亀前を飯島（逗子市）の伏見広綱の屋敷に移して寵愛を続けました。

8月12日。北条政子が頼家を出産しました。

北条政子が頼朝の浮気を知って激怒

その後。政子は継母の牧の方から「頼朝が亀前を寵愛している」と知らされます。

それを聞いた政子は激怒しました。

11月10日。政子は牧の方の父・牧宗親に命令して伏見広綱の家を破壊させました。

屋敷にいた亀前は広綱に助け出されました。亀前は命からがら鐙摺（葉山町）の大多和義久の屋敷に逃げました。

11月12日。その事件を知った頼朝は遊興を口実に鐙摺に行きました。牧宗親と伏見広綱を呼び出して何が起きたのか聞き出しました。宗親は顔を地にこすりつけて土下座しました。でも頼朝は怒りが収まりません。頼朝は宗親の髻（もとどり：髪を束ねて頭の上で結い上げているもの。普段は烏帽子で隠れています）を切りました。

髻を来られるのは武士にとっては非常な屈辱です。

そして頼朝は「御台所（政子）の命令を聞いたのはよいことではあるが、その命令に従うにしても、どうして報告してこなかったのだ。すぐに実行して恥辱を与えるとはおかしいと思わないのか」と叱りつけました。

宗親は泣いて逃亡しました。

政子の父・北条時政は牧宗親が処罰されたことを知ると怒って一族を率いて伊豆国へ返ってしまいました。

そういうこともあったので亀前は政子を非常に怖がりました。でもその後も頼朝は亀前を寵愛するのをやめませんでした。

12月10日。頼朝は亀前を小坪の小忠太光家の屋敷に移しました。

12月16日。北条政子の怒りは収ままりません。結局、伏見広綱は遠江国へ流罪になりました。

その後、亀前の記録はないので彼女がどうなったのかはわかりません。

北条政子の手の届かないところに移されたのかもしれません。

北条政子の嫉妬は特別ではない？

亀前の話は北条政子の嫉妬深さを象徴する話として紹介されます。

でも当時の女性にとって夫を奪った女性の家に殴り込みに行くのは珍しいことではありません。北条政子は地位が高いので家来を使って家を壊したり、やることが派手でした。だから異常な出来事のように広まってしまいました。さすがに家を壊すのはやりすぎかもしれません。女性同士で争うのがルールだったので、家来を使うのはルール違反にはなります。でもスケールは小さくても似たような事をする人は当時はいたようです。