NHK大河ドラマ「光る君へ」の第1話 約束の月 のあらすじと感想です。
平安時代中期を舞台に「源氏物語」の作者・紫式部(まひろ)の生涯を描いたドラマ。
「源氏物語」は54巻からなる大長編物語。でもそれを描いた紫式部は謎の多い人物。紫式部はなぜあれほど長くで奥深い「源氏物語」を書けたのか?というのをドラマで描いていくようです。源氏物語にまつわるエピソードも期待できそうですね。
紫式部だけでなく、藤原道長がもうひとりの主人公といえる存在になってます。
「源氏物語」は藤原道長の協力がなければ長編物語として後世に残らなかったでしょう。藤原道長の成功も源氏物語があったから達成できた部分もあります。二人は持ちつ持たれつの関係でした。ドラマではどのように描かれるのか楽しみです。
この記事はネタバレ要素を含みます。ご注意ください。
主な登場人物
・まひろ/紫式部
演:落井実結
ドラマのヒロイン。源氏物語の作者。
・藤原為時(ふじわらの ためとき)
演:岸谷五朗
まひろ(紫式部)の父。
ちやは
演:国仲涼子
まひろ(紫式部)の母。
・太郎
演:高杉真宙
まひろ(紫式部)の弟。
・藤原宣孝(ふじわらの のぶたか)
演:佐々木蔵之介
為時の友人。
・三郎/藤原道長
演:木村皐誠。
藤和兼家と時姫の三男。
・藤原兼家(ふじわらの かねいえ)
演:段田安則
道長の父。
・時姫(ときひめ)
演:三石琴乃
兼家の正室。道長・道隆・道兼の母。
・藤原道隆(ふじわらの みちたか)
演:井浦新
兼家と時姫の長男。道長の兄。
・藤原道兼(ふじわらの みちかね)
演:玉置玲央
兼家と時姫の次男。道長の兄。
・藤原詮子(ふじわらの あきこ)
演:吉田羊
兼家と時姫の次女。道長の姉。
・円融天皇(えんゆうてんのう)
演:坂東巳之助
64代天皇。
・安倍晴明(あべの はるあきら)
演:ユースケ・サンタマリア
陰陽寮の陰陽師。
第1話 約束の月 あらすじ
初回放送:2024年1月7日。
平安時代の中ごろ。
貞元2(977年)。陰陽師の安倍晴明は夜空を見上げ異変が起こると陰陽寮の学生たちに伝えます。
ヒロインの まひろは後に紫式部と呼ばれる人物。子供のころから書物が大好き。漢文も読めるようになっていました。
父は学者の藤原為時。藤原氏ですが政治的な権力を持たない下級貴族。母のちやは はそんな父を支えています。
まひろ には太郎という弟がいますが勉強熱心ではありません。父が学問を教えても先にまひろが覚えてしまいます。
貴族とはいえ、まひろの家は貧乏で雨が降れば雨漏り。屋根を治す蓄えもありません。
ある日。まひろは買っていた小鳥が逃げてしまいます。小鳥を探しに家の外に出ましたが、小鳥は見つかりませんでした。
そこに三郎という少年がやってきて、泣いているまひろを慰めてくれます。よく見ると彼の足には傷があります。それは兄の暴力で受けたものでした。三郎は足で字が書けました。まひろは漢籍を書いてくれとせがみましたが、三郎は書けないといいます。三郎は漢文がわかるまひろを不思議に思い何者か尋ねますが、まひろは帝の子で母の身分が低いので宮中を追い出されたのだと嘘をついてしまいます。
まひろと三郎は再び合う約束をして別れました。
まひろの父・為時は右大臣・藤原兼家から東宮の教育係の仕事を与えられました。実はスパイをしろというのです。でも仕事が欲しい為時は引き受けました。
為時の仕事が決まり、母のちやはは嬉しそう。早速、まひろを連れてお礼参りにでかけました。
ところがその帰り。三郎と約束のあるまひろは先を急いで帰ろうとします。すると藤原道兼に遭遇。驚いた馬から落ちた道兼は怒ってまひろを蹴飛ばしました。ちやはがかばい謝りますが。怒りの収まらない道兼はちやはを刺し殺して去ってしまいます。
まひろは彼の従者が「みちかね様」というのを聞いていました。父・為時は藤原兼家に殺されたのだと察しましたが。右大臣家に逆らえず、ちやはを病死したことにするのでした。
漢籍:漢文の書籍。
光る君へ 感想
待望の平安時代
大河ドラマでは初めて平安貴族が主人公です。
平将門や平清盛は武士ですからね。
個人的には大河ドラマは戦国時代と幕末だらけなので他の時代にも注目して欲しいな。と思っていたのでこの選択は大歓迎。
でも日本の歴史ファン≒武士ファン。結局。平安時代って時代が長いわりにファンも研究者も層が薄いんですよね。
エンタメ作品では公家はいつも引き立て役というかだらしない役を押し付けられています。そのせいで現代人は公家によくない印象を持つようにイメージ操作されています。
大河ドラマの視聴者層もほぼ全て武士ファンでしょうし。貴族のドラマを放送して誰が見るのか?という不安はありますが。スポンサーを気にしなくていいNHKならマイナーな時代のドラマも作れるし。源氏物語とその作者やそれを取り巻く時代は大河で取り上げるべきテーマだと思います。
私も武士や戦国時代のドラマは好きですが、平安時代が今の日本に影響を与えている部分も大きいので無視はできないんですよね。
むしろ戦国時代より平安時代に生きた人のほうが現代人のメンタリティに近いと思いますし。丁寧に描けば共感する人は多いと思います。今までとは違う視聴者を開拓できると思います。
というわけで今回のドラマは期待しています。
テーマ曲は印象に残らない
まず。テーマ曲。
「全然、印象に残らない」
無難にまとめたったって感じ。とにかく視聴者を邪魔しないようにと作られたBGMみたいな感じ。
映像も安っぽい。印象に残らない。
ここ最近の大河ドラマのテーマ曲は日本人が作曲したものは印象に残らない。無難にすませようというのが多いですね。
まあ、この先何度も聞けば「意外といいじゃない」と受け止め方も変わるかもしれないので。それに期待。
名前は架空
ヒロイン紫式部の名前は「まひろ」。母の名前が「ちやは」。本名がわからないので作るしかありません。
平安時代の貴族の女性なら「◯子」が常識。ドラマなので伝統に忠実な必要は無いですし、登場人物が「◯子」だらけになるので変化をつける意味でも違う名前にしたのはいいと思います。
でも「まひろ」ねえ・・・この時代ならキラキラネームですよね。「オシャレで和風な名前つければいいでしょ」ってノリで付けた名前みたい。でもまあ下手にリアルな名前つけてそれが定説と思われても困るので嘘っぽい名前でもいいんじゃないでしょうか。
いきなり屈折しているヒロイン
まひろの家は貴族なのに貧乏なのが嫌なのか。
家の外にも妾(つま)がいる父に不満があるのか。
初対面の三郎に「自分が帝(みかど)の子供で、母の身分が低いので宮中を追い出された」と嘘をつきます。
この時代、皇族や上級貴族の女性は漢文を読むのが教養とされました。身分の低い女性だから問題にされるのです。女だからという理由だけで漢文が読めるのがおかしいと言われるのではありません。
父が学者だから漢文が読めるとか。本当は下級貴族だけど上級貴族の娘と話を盛ってもいいかもしれない。貧乏貴族の娘というのは恥ずかしいから多少の誇張は入るでしょう。
でも物語のような嘘がとっさに出るなんてどういうこと?普段から言い訳を用意しているの?この歳ですでに母の身分が低くで宮中から追い出される話を知ってるの?
後に作家になるから子供のころから想像力が豊かなのだろう。ということなんでしょうか。
それに初対面の少年に漢籍の「蒙求」を書いてと注文します。自分が知識があるのを自慢したいのでしょうか。
「蒙求」は「窓の雪の明かりで勉強する話」が載ってる漢籍でも初級とされる書物。このころの貴族社会では広く読まれていました。だからまひろは書いてと要求したのでしょうけど。1話の三郎の身なりは身分は高そうには見えませんけどね。三郎を貴族とは思ってないみたいだし。それとも弟が勉強しているから世の中の男子はみんな知ってると思ったのでしょうか?
あと「馬鹿」のうんちくを披露して三郎を馬鹿呼ばわりするあたりも不条理なかんじ。単に教養の無さを馬鹿にしているのではない行き場のない憤りのように思えます。
もっとも。若い頃の紫式部は父から「兄弟より才能がある」と言われて得意になっていましたし、和歌を見ても自分の意見を言うタイプみたいです。後に色々経験して変わっていきますが。若いころの演出としてはこういうのもアリかもしれません。
源氏物語ネタ
ドラマでは源氏物語を劇中劇にする予定はない。とのことですが源氏物語を想像させる場面はあるようです。
今回は、まひろが飼っていた小鳥が逃げて悲しんでいると。三郎(藤原道長)がやって来て慰める場面があります。
これは若紫と光源氏の出会いの場面に似ています。
まひろのひとつひとつの体験が後に源氏物語を書くときに活かされていると考えると。源氏物語ネタを探すのが楽しくなりますね。
いきなり母が死亡
紫式部の母は幼い頃に亡くなっているようなので、どこかでいなくなるのは仕方ないです。ドラマ上は「母が兼家に殺された」のは後々なポイントになるみたいなので重要な場面のはず。
でも。
母が道兼を激怒させるようなことしましたか?あの場面で怒って斬るならまず、まひろでしょ。激昂して今にも斬りかかりそうな道兼から娘を必死に庇って切られた。というならともなく。道兼はすんなり引き下がったのになぜか引き換えして歩いてきていきなり刀が胴体貫通。どんだけ刀が飛び出てるの!
ちょっと変わった演出にしたかったのかもしれないけど。演出が安易すぎ。殺されたという記号にしかなってない。学芸会のお芝居みたい。
それでも今後が楽しみ
部分的に気になるところもありますが、ドラマ的には楽しめましたね。次どうなるんだろう?と続きを見たくなります。
手探りな部分はあると思いますが個人的には良かったと思う。なにより今までやっていない平安時代の貴族社会を大河ドラマにしようというチャレンジ精神は高く評価したいです。
ふざけて作っているのが分かってしまう(少なくとも視聴者をバカにしている)「どうする家康」に比べれば断然いい。
次回が楽しみです。
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