源博雅は平安時代に活躍した音楽家

源博雅(みなもと の ひろまさ)は平安時代の公家で音楽家です。

映画やドラマになった夢枕獏原作の「陰陽師」に登場する人物としてのイメージが強い人も多いのではないでしょうか。

「陰陽師」では笛の名人として登場する博雅。現実にも楽器の演奏では優れた腕をもっていたようです。

音楽への情熱は高かったようですが、あまり仕事熱心ではなかったり、あがり症だったりと、少しお坊ちゃん気質があったようです。

源博雅(みなもと の ひろまさ)とはどんな人だったのでしょうか。

 

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 源博雅(みなもと の ひろまさ)とは

 

名 前:源博雅(みなもと の ひろまさ)
通称・官名:博雅三位(はくがのさんみ)
生 年:延喜18年(918年)
没 年:天元3年9月28日(980年11月8日)
父:克明親王
母:藤原時平の娘
子:信貞、信明、信義、至光

皇族から臣下に

源博雅は源氏の名前が意味するとおり。天皇家から分かれた家柄です。

博雅の父は克明親王(よしあきらしんのう)。醍醐天皇の第一皇子です。

博雅は克明親王の長男として産まれました。皇族時代は博雅王とよばれていました。

皇族から外されて「源」の姓を与えられ、源博雅と名乗るようになりました。

源氏といっても源頼朝でお馴染みの清和源氏とは違う醍醐源氏の家系です。

源博雅はもとは皇族ですから重要な仕事を任されることが多かったようです。博雅が任された仕事の一部を紹介します。

承平4年(934年)。従四位下の位を与えられました。

天暦元年(947年)。中務大輔になりました。中務省の役人です。中務省は天皇に仕えて命令の発行や人事も担当する職場。

天徳3年(959年)。右兵衛督になりました。天皇や都を守る仕事です。

康保2年(965年)。左中将になりました。

天延2年(974年)。従三位・皇太后宮権大夫になりました。皇太后宮とは皇太后に仕え皇太后の生活や仕事をサポートする部署です。

音楽の天才

博雅は雅楽が得意でした。琵琶、箏(そう、こと)笛、篳篥(ちひりき)を学び、とくに大篳篥(おおちひりき)が得意だったと言います。

楽器を演奏するのが好きで自分で歌ったり踊ったりするのはあまり好きではなかったようです。

康保3年(966年)。村上天皇の命令で「新撰楽譜(長秋卿竹譜)」を作りました。別名「博雅笛譜」ともいいます。雅楽の世界では有名な楽譜です。

長慶子(ちょうげいし)を作曲したといわれます。長慶子は舞楽の演奏会で締めくくりに演奏される曲です。現代でも演奏される曲です。

宮中で行われる宴では博雅が楽器を演奏することがありました。

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博雅のエピソード

天徳4年(960年)。天徳四年内裏歌合に参加。村上天皇の主催で行われた歌会です。このとき博雅は和歌を読み上げる役目でした。

ところが、天皇の前で緊張してしまって読み上げる和歌を間違えてしまいました。元皇族とはいっても天皇の前では緊張するのでしょうね。

源博雅は平安時代には既に有名人だったらしく、今昔物語や様々な物語にも出てくる人物です。

朱雀門の鬼と出会って、月夜に一緒に合奏したりしました。朱雀門の鬼から名笛「葉二」(はふたつ)をもらいました。平安時代の物語には鬼がよく出てきます。朱雀門の鬼は平安京でも特に恐れられた鬼です。笛の名人として有名で他の物語にも登場します。

琵琶の名器「玄象(げんじょう)を羅城門から探し出しました。

蝉丸(せみまる)という歌人が琵琶の名人というのを聞きつけて、逢坂関(おうさかのせき、現在の滋賀県大津市大谷町のあたり)にでかけました。3年間通い続け「流泉(りゅうせん)」「啄木(たくぼく)」という琵琶の名曲を習いました。

能の蝉丸にも博雅は登場します。蝉丸は小倉百人一首にも歌がある実在の人物ですが、能の蝉丸は創作です。

家に泥棒が入ったとき、博雅は泥棒に気がついて床下に逃げました。泥棒は博雅の家から品物を次々と盗み出しました。そこで博雅が笛を吹くと泥棒は笛の音色にすっかり感心して盗んだものを返して帰っていったといいます。

博雅は創作物語にもよく出てきます。笛や楽器の名人として登場することが多く、平安時代の人々にとって博雅は音楽の名人として有名だったことがわかります。

言い伝えでは、酒に強い酒豪だったといいます。

藤原実資という公家の日記には「源博雅は音楽や文学は優れているが、天下の怠け者だ」と書かれています。音楽の才能はすごかったようですが、あまり仕事熱心ではなかったようです。芸術家タイプの人だったのでしょうね。

ドラマや映画になった夢枕獏の小説「陰陽師」では安倍晴明の友人としてよく出てきます。博雅は晴明の3歳年上で同じ時代に生きた人なのは間違いありません。しかし二人の間に親密な交流があったたかどうかは不明です。

 

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